なぜ「できること」に目を向けられないのか?
「できないことより“できること”を見ましょう」
子育てや支援の場で、よく聞く言葉です。
でも、実際には――どうしても“できないこと”ばかりが気になってしまう。
私自身もそう感じた経験があります。
なぜなんでしょうね。
定型(ていけい)発達という物差し
多くの場合、基準になっているのは「年相応=定型発達」の姿です。
医学的に診断や支援を行うときには、この物差しが欠かせません。
ただ、本来は“目安”であるはずのものが、社会全体で「当たり前の発達像」として広がってしまうことがあります。
その結果、「遅れている=できない」と短絡的に受け止められやすいのです。
でも、発達は一本道ではありません。
一人ひとり歩み方もペースも違う。
“まだその時期じゃない”だけなのに、「できない」と強調されすぎてしまうことがあるのではないでしょうか。
支援のイメージって?
支援と聞くと「課題を見つけて改善すること」と思われがちです。
そのため、自然と「できないことを直す」方向に意識が向きやすい。
けれど実際には、子どもたちは“できること”を足場にして、そこから少しずつ新しいことに挑戦していきます。
支援も同じで、「できることを伸ばして広げる」ことこそが、成長を支える自然な形なのだと思います。
不安が「できない」を大きくする
親としても支援者としても、やっぱり子どもの将来は気になります。
「このままで大丈夫かな」――そんな不安が、“できないこと”を大きく見せてしまうのです。
実際には少しずつできることが増えているのに、不安の影に隠れて見えにくくなることがあります。
できることって、なぜ見えにくいの?
日常の中で子どもが自然にやっていることって、意外と「当たり前」に見えてしまうんですよね。
だから言葉にして取り上げられることが少ない。
一方で“できないこと”は目につきやすく、会話にも出しやすい。
結果として、支援の場や家庭でも「できない」が中心になってしまうのです。
これからに向けて
こうしてみると、“できること”が見えにくい理由はひとつではありません。
定型発達という物差しが社会の基準になっていること、支援のイメージ、不安、そして日常の見え方――いくつもの要因が絡み合っているのだと思います。
だからこそ、「できること」を見つけられる、私たちの習慣にしていきたいですね。
次回は、そのための具体的な例をお伝えしますね。
コラムについて
日々の活動の中で出会った出来事や心に残った一言、小さな気づきを綴っていきます。それぞれの立場にとっての学びやヒントになれば嬉しく思います。
著者プロフィール
こどもサポート はるかぜ 代表
保護者や子どもたちと日々向き合いながら、運営や経営の立場からも支援のあり方を考えてきました。これまで、人に話すのもためらうような失敗もあれば、思わず飛び上がるような成功も経験してきました。
そうしたリアルな瞬間や運営の中で見えてくる課題を、できるだけ等身大の言葉でお届けしていきます。
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