“正解”を超えて――柔軟さが生む支援の道

(シリーズでお届けしています。)

1回目はこちら:支援に“正解”はあるのか?
2回目はこちら:即興の対応に意味はある?

「支援に正解はあるのか?」ということから始まり、私たちが迷うことの意味を考えてきました。

そして、迷いの中で生まれる“即興の対応”が、場当たり的ではなく支援の柔らかさにつながっていることを見てきました。

今回はさらに一歩進めて、柔軟に動くこと自体が正解なのか? ということに向き合ってみたいと思います。

柔軟に動く=正解ではない

現場では「とにかく柔軟に。臨機応変に。」と言われることがあります。

確かに、予定通りにいかない状況で子どもに合わせて動けることは大切です。

けれど「柔軟にさえすれば正しい」というわけではありません。

“答え”そのものではなく、答えを探すための姿勢です。

言い換えれば、柔軟さは「正解」ではなく、「正解へ近づく道」だといえるのではないでしょうか。

柔軟さを支えるもの

柔軟さは、ただの思いつきではありません。その背後にはいくつもの土台があります。

・子どもの姿をよく観察する目

小さな表情や動きからサインを受け取る力。

・経験の積み重ね

成功も失敗も引き出しとなり、即興の判断を支える。

・仲間や保護者との対話

「あのときどうした?」と確かめ合える関係性が安心を生む。

・子ども自身を信じる心

今は見えなくても「この子は伸びていく」と信じる気持ちが柔軟さを後押しする。

これらがあるからこそ、柔軟さは「行き当たり」ではなく「意味ある応答」になります。

正解は外にあるのではなく

私たちが求める正解は、マニュアルや制度の中に一つだけ用意されているものではありません。

子どもや家族と一緒に歩む過程の中で、その時々の「ちょうどよさ」として形を変えながら見えてくるものです。

だから、迷いも、即興の工夫も、柔軟に動くこともすべてが支援の一部。

私たちが「これでいいのかな」と自分に問いかけながら進むこと自体が、子どもにとって安心につながっていく、そう感じています。

 “正解”なき、支援へ。

迷いを重ね、即興の工夫を積み重ね、柔軟さを携えて歩むことは決して無駄ではありません。

その道のりはきっと、子どもや家族にとっても、そして支援者自身にとっても確かな力になっていきます。

迷いや悩みを怖がる必要はありません。

迷えるからこそ、私たちは柔らかく、しなやかに、子どもと共に歩むことができるのです。

それが“正解を超えた支援の道”であり、私たちが信じて進んでいける道なのだと思います。

そして、ここまで読んでくださったあなたに、心から「おめでとう」を伝えたいです。

この問いを持ち、立ち止まって考えている時点で、あなたはすでに良い支援を歩んでいます。

いつか、同じ歩みの中で語り合うことができたら、嬉しく思います。


コラムについて

日々の活動の中で出会った出来事や心に残った一言、小さな気づきを綴っていきます。それぞれの立場にとっての学びやヒントになれば嬉しく思います。

著者プロフィール

こどもサポート はるかぜ 代表 
保護者や子どもたちと日々向き合いながら、運営や経営の立場からも支援のあり方を考えてきました。これまで、人に話すのもためらうような失敗もあれば、思わず飛び上がるような成功も経験してきました。
そうしたリアルな瞬間や運営の中で見えてくる課題を、できるだけ等身大の言葉でお届けしていきます。
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