ひとりの支援がチームを動かす
ある日、スタッフのひとりが、活動の準備で少しセッティングに入りました。
子どもが落ち着いて過ごせるように、机の位置を少しだけずらし、
その子の視線の先にお気に入りの絵本が見えるように置いたのです。
たったそれだけのことでした。
けれど、その日の活動では、いつもよりスムーズに座る姿がありました。
それを見ていた他のスタッフが「この配置、いいですね」と声をかけ、
翌週には別の活動でも自然と取り入れられていました。
最初はほんの思いつき。
でも、その“やってみた”がチーム全体の工夫を呼び起こしていく。
支援の文化って、たぶんそういうふうに育っていくのだと思います。
「どうすれば子どもが安心して入れるか」
「どんな空気なら笑顔が生まれるか」
その視点をもつ人がひとりいるだけで、周囲の意識が少しずつ変わっていく。
声を上げるより、動いてみること。
伝えるより、見せてみること。
小さな実践には、人を動かす力があります。
それはマニュアルには載らない、“肌で感じる納得”を生むからです。
そして気づけば――
「あの人がやっていた方法、試してみよう」
そんな言葉が自然と行き交うようになる。
ひとりの支援が、やがてチームを動かす。
その最初の一歩は、いつも“目の前の子どもに合うかどうか”を考えた誰かのやさしい工夫から始まっています。
コラムについて
日々の活動の中で出会った出来事や心に残った一言、小さな気づきを綴っていきます。それぞれの立場にとっての学びやヒントになれば嬉しく思います。
著者プロフィール
こどもサポート はるかぜ 代表
保護者や子どもたちと日々向き合いながら、運営や経営の立場からも支援のあり方を考えてきました。これまで、人に話すのもためらうような失敗もあれば、思わず飛び上がるような成功も経験してきました。
そうしたリアルな瞬間や運営の中で見えてくる課題を、できるだけ等身大の言葉でお届けしていきます。
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