“できた!”を共有する瞬間 ― チームで祝う支援
「できた!」
その一言が場の空気を変える瞬間があります。
ある日、活動のあとに片づけをしていたときのこと。
普段は声をかけてもなかなか動かなかった子が、自分からそっとイスを片づけ始めました。
気づいたスタッフが「今、自分でやったね」と声を返すと、子どもの表情がふっと明るくなり、「できた!」と笑顔に。
その声に周りのスタッフも振り返り、「ほんとだ、できたね」と自然に笑い合いました。
その一瞬、場全体がやわらかい空気に包まれました。
できたことを“見つけて伝える”だけでなく、“チームで共有する”ことが、こんなにも子どもの自信を後押しするのだと感じた出来事でした。
“できた”を見守る支援者の目
支援の現場では、子ども一人ひとりの「できた」を見つけるタイミングが違います。
すぐに気づけるときもあれば、あとになって「あのときのあの動き、実は自分でやっていたんだな」と気づくこともあります。
大事なのは、その発見を心に留めて終わりにしないこと。
「○○ができたよ」と小さくても言葉にして仲間と共有するだけで、チームの中に“気づきの循環”が生まれます。
あるスタッフが見つけた小さな変化が、別のスタッフの励みになる。
それを聞いた別の子が「じゃあ自分もやってみようかな」と動き出す。
そうして“できた”の輪が少しずつ広がっていくのです。
共有が生む安心と挑戦
「できた!」を一緒に喜ぶことは、単なる承認ではなく“安心の共有”でもあります。
子どもにとっても、大人にとっても、「見てもらえた」「伝わった」という感覚が次の一歩を支えます。
現場では、支援の成果を数字や記録で追うこともありますが、それ以上に力をくれるのはこの瞬間です。
誰かの「できた」をチーム全体で受けとめられる場は、挑戦しやすい空気をつくります。
それはきっと、子どもたちにも伝わっていく。
大人同士が互いの“できた”を認め合える場所では、子どもたちも自然と自分の成長を誇れるようになるのです。
“できた”の共有は、支援の文化を育てる種。
一人の気づきがチームの喜びになり、その喜びがまた次の挑戦を生む。
そうした循環の中で、子どもも大人も少しずつ伸びていくのだと思います。


