子どもを見る目、大人も試されている
「できることを見る」――子どもと向き合うときに、大切にされる姿勢のひとつです。
でも実は、それは子どもだけに向けるものではなく、大人同士の関わりの中にも通じるのかもしれません。
大人だって“できない”を抱えている
私たち大人も、子どもと同じように“できないこと”を抱えています。
忘れ物をしたり、言葉が足りなかったり、気分に左右されたり。
もしそうした面ばかりを指摘されたら、誰でも気持ちが沈んでしまいますよね。
一方で「ここが助かったよ」「ありがとう」と声をかけてもらえたらどうでしょう。 小さなことでも認められるだけで、不思議と力が湧いてきます。
姿勢を支えるのは、身近な習慣
「できることを見る」という姿勢は、支援のベースにあります。
けれど、それを支えているのは特別なスキルではなく、ごく基本的なことです。
たとえば、気持ちのよいあいさつをする、時間を守る、お礼を伝える、顔を見て話す。
誰もが大切にしているようで、ついおろそかになってしまうことでもあります。
初めに教えてもらった習慣を、私たちが日々の中で丁寧に積み重ねていく。
その積み重ねが、子どもに向ける姿勢を支える土台になっていくのだと思います。
気づかされたこと
正直なところ、私はずっと「大人なんだから自分で考えてできるでしょ」と思っていました。 けれど実際にはそうはいかず、子どもたちに向ける視点とまったく同じものが、大人にも必要だと気づかされました。
子どもは「できた!」と素直に喜べるし、周りも自然に声をかけやすいものです。 でも大人になると、経験や立場があるぶん、恥ずかしがりますね(笑)謙遜っていうんですかね。
私自身も、そうかもしれないです。どこいったあの素直さは…
だからこそ、大人にこそ“できることを見る”という視点が必要になるのだと思います。
役割と習慣が生む安心のバランス
“できること”を見て支え合う姿勢は、大人同士でも欠かせないものです。 ただ、そればかりを強調すると「まあいいか」という自己解釈にすり替わってしまう危うさもあります。
大事なのは、日々の役割を意識しながら、習慣や約束を大切にし、“できること”を見ていくこと。
そのバランスが、子どもたちにも伝わる空気をつくっていくのだと思います。
「私たちは繰り返し行うことの集大成である。
ゆえに、優秀さとは行為ではなく習慣なのだ。」
――アリストテレス
コラムについて
日々の活動の中で出会った出来事や心に残った一言、小さな気づきを綴っていきます。それぞれの立場にとっての学びやヒントになれば嬉しく思います。
著者プロフィール
こどもサポート はるかぜ 代表
保護者や子どもたちと日々向き合いながら、運営や経営の立場からも支援のあり方を考えてきました。これまで、人に話すのもためらうような失敗もあれば、思わず飛び上がるような成功も経験してきました。
そうしたリアルな瞬間や運営の中で見えてくる課題を、できるだけ等身大の言葉でお届けしていきます。
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