ズレを恐れない ― 支援観の違いをどう扱うか

支援の現場には、考え方の違いが必ずあります。

「どこまで手を出すか」「どう声をかけるか」「待つのか、促すのか」――。

同じ出来事を見ても、受け取り方や判断は人によって違います。

かつての私は、この“ズレ”が怖かった時期がありました。

違いは衝突のもとになるし、現場をややこしくしてしまうと思っていたからです。

でも今は、少し見方が変わってきました。

ズレは、チームが息づいている証拠でもあるんですよね。

ズレは「間違い」ではなく「視点の幅」

誰もが自分なりの経験や価値観をもとに支援しています。

だからこそ、意見がぴったり一致することはむしろ珍しい。

ズレがあるのは当然で、それをどう扱うかでチームの質が変わります。

たとえば「待つ支援」と「促す支援」

一見相反するように見えて、実はどちらも必要な場面があります。

待つことで自立を支えることもあれば、促すことで挑戦を後押しできることもある。

その違いをぶつけ合うのではなく、

「なぜそう感じたのか」を聞き合う時間にできると、

ズレが“対立”から“学び”に変わっていくんです。

チームの中で「ズレ」を扱うコツ

支援観の違いを活かすには、いくつかの姿勢が鍵になります。

✓ 相手の背景を想像する

 「なぜそう思ったのか」をたずねるだけで、見え方が広がる。

 その人の経験や得意分野が支援観を形づくっていることに気づきます。

✓ 正解探しをやめる

 どちらが正しいかを決めるより、「どんなときにその考えが活きるか」を考える。

 これが“柔軟な支援”の出発点になります。

✓ ズレの中にチームの強みを見る

 支援観が違うからこそ、複数の引き出しが持てる。

 その多様さが、現場の安心と対応力を生み出します。

支援観は「揺れ動くもの」

支援観は固定されたものではありません。

経験を重ねるたびに少しずつ変化し、

誰かの言葉や子どもたちの姿によって更新されていくものです。

だからこそ、ズレを恐れる必要はないのだと思います。

大切なのは、「違いの中で一緒に考えられる関係性」を育てること。

それが、チームとしての成長の土台になります。

「みんな同じ考え」ではなく、

「違う考えを持ちながら一緒に子どもたちを見る」

その姿こそが、私たちが目指す支援の形です。


コラムについて

日々の活動の中で出会った出来事や心に残った一言、小さな気づきを綴っていきます。それぞれの立場にとっての学びやヒントになれば嬉しく思います。

著者プロフィール

こどもサポート はるかぜ 代表 
保護者や子どもたちと日々向き合いながら、運営や経営の立場からも支援のあり方を考えてきました。これまで、人に話すのもためらうような失敗もあれば、思わず飛び上がるような成功も経験してきました。
そうしたリアルな瞬間や運営の中で見えてくる課題を、できるだけ等身大の言葉でお届けしていきます。
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