チームで気づきを拾う ― 誰かの視点が支援を変える
記録や話し合いの中で、ほかの人の言葉に“自分の支援を映す鏡”がある。
気づきを拾い合うことで、チーム全体がやわらかく変化していく。
現場にいると、自分の支援を客観的に見ることはなかなか難しいものです。
けれど、ほかの人の記録や一言を通して、「あ、自分もそうだったかもしれない」と気づかされる瞬間があります。
それは、相手を通して自分を見つめ直す“鏡”のような時間です。
同じ活動を見ていても、注目するポイントは人によって違います。
子どもの動きに目を留める人もいれば、声のトーンや表情を感じ取る人もいる。
だからこそ、話し合いの場で出てくる“視点の違い”が、次の支援を豊かにしていくのだと思います。
ある日、スタッフの記録に書かれた一文にハッとしたことがありました。
「〇〇さんが待っていられたのは、となりの子が静かに待っていたからかもしれない。」
私はその瞬間まで、本人の頑張りだけに目を向けていたのです。
けれど、その記録を読んで初めて“支えていた環境”に気づきました。
こうした他者の視点は、支援の奥行きをつくる何よりの学びだと感じます。
そして面白いのは、誰かの気づきが連鎖していくこと。
「あ、私も似た場面あった」「たしかに、そういう見方もできるね」
そんな会話が増えると、チームの空気がふっとやわらかくなるのです。
お互いの支援を“批評”するのではなく、“見つけ合う”関係に変わっていく。
その瞬間、支援は個人のものから“チームでつくるもの”へと変わっていきます。
誰かの視点が、誰かの気づきを生む。
その重なりが、チームを少しずつ変えていく。
だから私は、記録を残すことや共有の時間を「報告のため」ではなく、
“支援を磨くための時間”として大切にしています。
支援は、ひとりで完成させるものではありません。
気づきを拾い合う中で、チーム全体が育っていく。
その変化を感じられる瞬間こそ、現場で働く喜びのひとつだと思います。
コラムについて
日々の活動の中で出会った出来事や心に残った一言、小さな気づきを綴っていきます。それぞれの立場にとっての学びやヒントになれば嬉しく思います。
著者プロフィール
こどもサポート はるかぜ 代表
保護者や子どもたちと日々向き合いながら、運営や経営の立場からも支援のあり方を考えてきました。これまで、人に話すのもためらうような失敗もあれば、思わず飛び上がるような成功も経験してきました。
そうしたリアルな瞬間や運営の中で見えてくる課題を、できるだけ等身大の言葉でお届けしていきます。
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