代表あいさつ

代表のあいさつとして、理念だけでなく、これまでの歩みを正直にお伝えしたいと思います。

これまでに積み重ねてきた経験や出会いが、今の私たちを形づくってきました。

その一つひとつに感謝しながら、未来へ向けた思いも込めてお伝えいたします。

お時間をいただきますが、ぜひ最後までご覧いただければ幸いです。


原点

障害の有無にかかわらず、自分らしい生き方を。

これが私の出発点でした。

20代当時、定職につかずに模索を続けながら、ただ生活のために働く日々を送っていました。

その頃の私は、福祉の「ふ」の字も知りませんでした。

そんな中で出会ったのが、障害者運動に携わる方でした。

「養護学校を卒業したから、分からん」

そう語る姿に驚きましたが、自分のできないところを笑いに変え、豪快さと繊細さをあわせ持つ方でした。

同時に、「重度の障害があっても地域で暮らしたい」という強く、そして当たり前の願いを抱いていました。

そのご縁で、支援の現場に見習いとして飛び込み、10年間、多くを学ばせていただきました。

振り返れば、この10年で私が身につけたのは専門性よりも、人との関わりにおける根本的な考え方や姿勢だったように思えます。

転機となった

息子が3〜4歳のころ、私は仕事を離れ、保育園への送り迎えや家事を担う“主夫”のような生活をしていました。

ある日保育園から自宅にもどると、昨日まで口にしたことのない言葉を、急に使うようになったのです。

どうやら「うた遊び」の時間に覚えたようでした。

たった一日の経験で子どもの世界が広がる、その瞬発力に驚かされました。そして、日常に大きな喜びをもたらすことも。

子どもの小さな成長が、確かな可能性へとつながっていく。

この実感は、後に現場で子どもたちと関わるときの大きな原動力となりました。

そんな時期に出会ったのが、制度化されたばかりの「児童デイサービス」 という福祉サービスでした。

息子を通して子どもの可能性を垣間見ていたからこそ、「子どもと関わる仕事をしてみたい」と自然に思えたのかもしれません。

「自分に何ができるのか分からない」気持ちは変わらないままでしたが、また一歩を踏み出して門を叩いたのが、この仕事の始まりでした。

療育を仕事に

児童デイに入職してからの時間は、振り返れば「過去一楽しかった」日々でした。

子どもたちの変化を見るたびに驚き、喜び、自分自身も楽しい。学びも苦にならず、むしろ次々と知りたくなる。そんな毎日でした。

けれど同時に「辛かった」時期でもありました。

発達障害のある子どもたちが、日常の中であちこちで怒られてしまう現実に直面したのです。

思ったことをそのまま口にしてしまう、じっとしていられない、どうしていいかわからず暴言が出てしまう——

学校から毎日のように呼び出される保護者の姿もありました。

さらに「もっと厳しく言ってください」「療育を受けているのに、なぜ変わらないのか」という声も寄せられました。

子どもなのになぜここまで叱られなければならないのか。理解されない現状に、苦しい思いをしたのを覚えています。

それに加えて、私自身も支援技術の未熟さに葛藤していました。

子どもたちは本来のびのびとするべきだ、という想いと、しっかり導かなければならない、という責任感。

その両方の狭間で答えを出せず、どう向き合えばいいのか整理できないままの日々が続きました。

新たなスタート…

そんな葛藤の中で、「子どもの権利が守られる、理想の事業所をつくりたい」と思い、立ち上げに踏み切りました。

けれど現実は、思い描いたようには進みませんでした。

理念と仕組みの間で揺れ動き、迷い、壁にぶつかることの連続。

日々の運営に追われる中で、「本当にこれでいいのか」と自問自答を繰り返す日もありました。

スタッフも入っては辞め、また一から体制を立て直す。

理想を掲げて始めたはずが、現場は人も体制も安定せず、正直に言えば何度も心が折れそうになりました。

それでも支えられたのは、やはり子どもたちの存在でした。

何かがつながったように目が輝く、その一瞬。
日々の小さな積み重ねの中で見える成長のかけら。

そして何より——

無垢な笑い顔、動き、表情、行動が、力を与えてくれました。

どんな困難があっても、その姿が私を前に進ませてくれたのです。

もちろん、課題がすべて解決したわけではありません。

私たちの歩みは、まだ道半ばです。

これから

子どもたちが 「のびのびと、自由に、自分らしく 」過ごせること。

そのために、権利が守られ、安心して笑い合える場をつくっていきたいという思いは、今も変わりません。

違いを受けとめるには、まず自分自身を認めることから始まるのだと思います。
自分を肯定できるからこそ、人の個性も尊重できる。

その実感は、子どもたちに限らず、大人にとっても成長のはじまりになります。

一人ひとりが自分を大切にできる環境こそが、子どもも大人も共に育ち合える土台になるのだと信じています。

子どもたちの可能性を信じ、一緒に育ち合える未来を——

私たちはこれからも、その歩みを続けていきます。

そして、日々子どもたちを支えてくださっている保護者の皆さまには、心から感謝を申し上げます。

ご家庭と事業所が共に歩んでこられたからこそ、子どもたちの成長を分かち合うことができました。

日々の小さなご協力や温かな言葉の一つひとつが、私たちの大きな力になっています。

これからも、ご家庭と手を取り合いながら、子どもたちの成長を見守っていきたいと思います。

共に喜び、共に悩み、共に歩む——その積み重ねが、子どもたちにとっての力になると信じています。

そして私たちは、これまでの出会いに感謝しながら、未来の子どもたちにもよりよい環境を届けられるよう、挑戦を続けてまいります。


どうぞ、これからも共に歩んでいただければ幸いです。


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