学校選びの正解は?~特別支援・地域の学校~
子どもは、どんな環境にあっても、その子なりに確かに成長していきます。どちらを選んでも、その子にとっての学びと出会いはありますよ。
「特別支援学校にするか、地域の学校にするか」――就学を前に、多くのご家庭が通る悩みです。今回は、その選択にまつわる思いと視点を、少し綴ってみたいと思います。
迷うこと自体が間違いではない
「地域で友だちと一緒に過ごさせたい」
「でも支援学校なら、もっと安心できるのでは」
どちらを選んでも、心のどこかで揺れ動くのは自然なことです。
揺れるのは弱さではなく、それだけ真剣に子どもの未来を考えている証なのだと思います。
だから安心してください。
どちらを選んでも、子どもは必ずその環境の中で成長していきます。
学びの違いに目を向けてみる
特別支援学校の良さ
- はみがきや手洗い、着替えといった生活の基本を授業に取り入れ、じっくり丁寧に身につけていける
- 少人数のクラスで、一人ひとりに合わせた支援が届きやすい
- 専門的な知識をもつ先生やスタッフが配置されており、安心して学べる
- 毎日の時間割に「コミュニケーション」や「生活スキル」が組まれていて、日常に直結した学びが得られる
地域の学校の良さ
- 地域の友だちと同じ教室で学び、自然に関わりを持つことができる
- 友だちと並んで歩く登下校や、休み時間の遊びも成長の一部になっていく
- 運動会や音楽会、部活動などを通して、地域のつながりを体感できる
- 将来、地域で生活していくための基盤を、早い段階から築くことができる
どちらにも、その学校でしか得られない大切な経験があります。 だからこそ「どちらを選ぶのか」で揺れてしまうものです。
でもそれは、とても自然な感情だと思います。
柔軟に見直すこともできる
一度の選択で未来すべてが決まるわけではありません。
子どもの成長に合わせて選び直すことができる――
そう考えると、少し肩の力が抜けるのではないでしょうか。
小学校の途中で支援学級に移ったり、逆に特別支援学校から地域の学校へ転籍したりと、成長に合わせて選び直すこともできます。
中学進学のタイミングで「学習面が心配だから支援学校へ」と決めるご家庭もあれば、「地域の友だちと過ごさせたい」と支援学級を選ぶご家庭もあります。
そのときどきで、子どもの様子や家庭の思いに合わせて進路を考えていけばいいのです。
学校選びには「正解」がない
実際のところ、学校選びに“唯一の正解”はありません。だからこそ、そのときどきの子どもの姿に合わせて選んでいくことが、一番自然で安心できる歩み方なのだと思います。
選んだあとに「本当にこれでよかったのかな」と揺れることもあるでしょう。 でも、それは間違いのサインではなく、子どもに合った環境を探し続ける親だからこそ生まれる自然な感情です。
そして、どの道を選んでも――その子なりの学びと成長は必ずあります。
成長を生むのは、選んだ環境の中での毎日
どちらを選んでも大丈夫。
子どもが成長するのは、学校という枠組みだけの力ではありません。
日々の生活の中で、先生とのやりとり、友だちとの関わり、登下校の体験、家族との時間――そのすべてが成長につながっていきますよね。
だからどの学校を選んだとしても、その子に合った経験の積み重ねが必ずあります。
できることが一つ増える、友だちと気持ちをやりとりできる、自分で選んで動けるようになる――そうした一歩一歩が確かな成長です。
「どちらを選ぶか」によって決まるのではなく、選んだ環境の中で、日々どんな経験を積むかによって育まれていくのです。
選んだ道の中で、子どもは必ず自分の力を伸ばしていきます。どうか安心して、お子さんの笑顔を見守ってください。
コラムについて
日々の活動の中で出会った出来事や心に残った一言、小さな気づきを綴っていきます。それぞれの立場にとっての学びやヒントになれば嬉しく思います。
著者プロフィール
こどもサポート はるかぜ 代表
保護者や子どもたちと日々向き合いながら、運営や経営の立場からも支援のあり方を考えてきました。これまで、人に話すのもためらうような失敗もあれば、思わず飛び上がるような成功も経験してきました。
そうしたリアルな瞬間や運営の中で見えてくる課題を、できるだけ等身大の言葉でお届けしていきます。
(👉代表あいさつを読む)